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充実スペック+手頃な価格!
ソニーの最新サウンドバー「HT-CT370」レビュー


ここ数年、ソニーのホームシアターシステムの快進撃が続いている。

2013年、台数・金額ともにトップシェアの座を射止めた同社のホームシアターシステムは、スタンダードなサウンドバーだけでなく、サウンドバーとして最高音質を追求したプレミアムモデル「HT-ST7」、そしてBDなどのマルチソースをワイヤレスでリアル5.1ch再生できる「BDV-N1WL」といった新路線のモデルなど、ユーザーニーズを捉えた巧みなマーケティングが奏効し、今までの常識を覆すような人気機種が数多く誕生した。

そんなソニーのホームシアター製品群のなかでも、昨年、業界最大のヒットモデルとなったのが、実売3万円台の「HT-CT660」。そのCT660が今回、ついにリニューアルし、新モデル「HT-CT370」として生まれ変わる。

ソニー「HT-CT370」と液晶テレビの設置イメージ。バー部分の背が低いため画面を隠すことがない

サウンドバーにとって非常に重要なポイントは、リビングでの設置性だ。リビングは家族全員が使うスペース。自分専用の部屋ではリアル5.1chを組めても、リビングでのホームシアター導入はハードルが高いという方は多いだろう。リビングの薄型テレビとテレビボードの上に、すっきりと、かつ違和感なく設置できることが求められるのだ。

 
本体色はブラックとシルバーの2色を用意する

HT-CT370の設置性は、非常によく考え抜かれている。本体は画面を隠さない背の低いデザインを採用しており、平置き時には高さわずか50mmに収まる。この背の低さによって、スタンド部が低く、ベゼルが狭いテレビであってもリモコン受光部を隠さずに設置でき、見た目にもスマートに設置できる。ちなみに、バースピーカー部のサイズは幅900×高さ50×奥行き113mm(スタンド無し時)だ。

実際の部屋に設置したイメージ。サブウーファーはワイヤレスなので設置の自由度が非常に高い

また平置き、スタンド、壁掛けの3つのポジションに対応しており、スタンドを取り付ければ、スピーカー部がより前方を向く。このポジションであればTVラックの2段目への設置もしやすい。実際に音元出版の視聴室で、スタンドを付けラック上段に収納する設置方法も試してみたが、薄型テレビの前にスペースが必要無いため、テレビの前にバーを置きづらい環境の方でも容易に導入できそうだ。

付属のスタンドを取り付けることで、設置時の角度を調整できる スタンドを取り付けた状態。スピーカーユニットが前面を向く

 

一昔前まで、リビング設置時の悩みの種だったサブウーファーも、ワイヤレス化によって格段に設置の自由度が高まった。しかも、縦置き・横置きに両対応。サイズも小型で、幅135×高さ361.5×奥行き394mmと、このクラスのモデルのサブウーファーとして抜群の設置性を誇っている。改めてインプレッションで触れることになるが、このサブウーファーの心地良い低音が味わえるからこそ、サウンドバーを導入して良かったと思えるほどの音質が得られる。

 
サブウーファーは小型で縦置き・横置き両対応。しかもワイヤレスなのでソファーの下などにも置いておける   サブウーファーのサイズを確かめる折原氏

HT-CT370はHDMIの最新規格、バージョン2.0に対応したこともポイントだ。4Kパススルー出力に対応し、入力は3系統を備えている。今後どんどん増えるであろう、4K対応AV機器との組み合わせにも最適だ。

端子部。HDMI端子はバージョン2.0に対応し、4K映像のパススルーに対応。3系統を備える

さらにサラウンドモードを「ClearAudio+」にしておけば、テレビのジャンル情報やコンテンツの種類に応じて、自動的に最適な音に設定してくれる。

そして最新モデルらしく、Bluetooth&NFCに対応。オーディオコーデックはSBCとAACに対応しており、スマホやタブレットなどの音楽ライブラリを手軽に楽しめる。

さらに今年のモデルでは、ソニーの音響製品向けアプリ「SongPal」に対応している。このSongPalを実際に使ってみたが、これは非常に便利だ。XperiaなどのAndroidスマートフォンであれば、アプリを起動した状態でスマホをHT-CT370にかざすと、NFCで互いが通信し、本機専用のメニューが表示される。アプリでは入力切替はもちろん、サウンドフィールドの選択、サブウーファーの音量設定、高域/低域の調整などをスマートフォンのタッチ操作で快適に行える。たとえばサブウーファーボリュームはスライダーで調整できるなど、アプリならではの操作性が追求されており、とにかく使いやすい。設定を細かく追い込むのにも適していると感じる。またSongPalからWalkmanアプリを起動することもできるので、スマホ内の楽曲を少ない手間で再生できるのも嬉しい。

 
サウンドバーの中央にNFCペアリング部を用意   NFC対応のスマートフォンとかんたんにペアリングができる

 

   
「SongPal」の画面。入力切替をワンタッチで行えるのは便利だ   「SongPal」ではサウンドフィールドもワンタッチで切り替え可能   サブウーファーボリュームはスライダーで調整することができる

 

サウンドバー最初のハードルである設置をクリアできたら、最重要ポイントである「音質」が気になってくる。もちろん今回のHT-CT370も、その音質とサラウンド効果をさらに進化させている。

昨年発売したプレミアムモデルのHT-ST7では「波面制御技術」というDSP処理技術を投入し、広がりあるサウンドを生み出していたが、HT-CT370では実売3万円台という価格帯ながら、物理的な「ディフューザー」というパーツを搭載。これにより広がりのある音を実現したのが最大の聴きどころでありポイントだ。この「ディフューザー」とは、60mmスピーカーユニットの前面に取り付けられた小さなパーツなのだが、その効果は大きく、部屋のなかで自然に音場を広げる。

 
60mmスピーカーユニット   新搭載の「ディフューザー」によって音を広げる

早速、HT-CT370のサウンドを体験してみると、この「ディフューザー」は思わず耳を疑うほど劇的にサラウンド効果を向上させる。上位モデルの「S-Force Pro フロントサラウンド」が作り出す5.1chのサラウンド空間を感じさせる、スイートスポットの広い音を生み出してくれるのだ。

音元出版視聴室で様々なコンテンツを視聴した。その音の広がりに折原氏も感嘆の声を上げた

まず聴いたのは、昨年BDが大ヒットした怪獣&ロボットSFアクションの『パシフィック・リム』。サブウーファーから迫り来る地響きのような低音がまずは印象的だ。さらに、視聴しているうちにクセになるあのBGMを、HT-CT370の見た目よりも遙かにスケールが大きく表現するのには驚かされる。音場が上に広がるだけでなく、前方、すなわち視聴者側にダイレクトに届けられ、耳もとをかすめていくようなキレある空間を生み出し、劇場さながらの興奮が味わえる。

リビングで家族とソファーに座って映画を見る場合、どの席で観ても良い音が楽しめるスウィートスポットの広さが重要になる。それを確かめるべく、再生しながら様々な場所に移動してみたが、正対した位置からかなり離れても自然な音が楽しめ、スウィートスポットが広い。ちなみに、サブウーファーの音量は0~12で調整できるようになっており、マンション住まいで騒音が気になる…という人も、リモコンからすぐに調整できるので安心だ。

他に映画『レ・ミゼラブル』を視聴しても、歌声の粒立ちをきめ細かく表現する。アニメBDの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観ると、BGMの音場の広がりが非常にハイレベル。この包み込まれるサラウンド効果は、HT-CT370のオススメのポイントとして強くアピールしたい。

これらの映画作品は、当然ながらサウンドフィールドを「MOVIE」で視聴した。このモードは、ほかのモードに比べてリバーブが大きめで、もっとも濃厚。広大なサラウンド感が得られるのが特長だ。ただ単に、視聴者の周囲に音が広がるだけでなく、音の奥行き方向まで描き出す点が特長と言えるだろう。

 

薄型テレビと一緒に使うサウンドバーは、視聴ソースは映画ばかりとは限らない。テレビ番組を視聴しても、HT-CT370では「ClearAudio+」によって自動的にサラウンドモードを選んでくれる。何も操作しなくても、常に最適な音が楽しめるというのは、ユーザーにとって非常にありがたいことだ。

 
「ClearAudio+」を選んでおけばコンテンツの種類に応じて最適な音場を選んでくれる   サウンドモードはリモコンからワンタッチで切り替えられる。赤く囲んだのは「ClearAudio+」ボタン

たとえば、BDレコーダーで録画したNHK『SONGS』で、EXILEのATSUSHIが出演した放送回を再生する。すると、ジャンル情報から自動的に「MUSIC」が選ばれ、音楽ライブに適した、広がり感のある素晴らしいサウンドを聴かせてくれる。番組中で美空ひばりの名曲『愛燦燦』を歌ったライブシーンでは、ボーカルがしっかりと立ち上がり、ATSUSHIのきめ細やかなボーカルを、薄型テレビの周辺にサウンドフィールドを作り出すように、しっとりと鳴らしてくれる。心地良いベース音を生み出すために、サブウーファーもしっかりと働く。

続いてコンテンツをサッカー日本代表の試合に変えると、サウンドモードは「SPORTS」が自動的に選ばれる。サウンドの特長は、まるでスタジアムで観戦していかのようなサポーターの声がしっかりと聞こえる、包み込まれるような臨場感。このサウンドは、テレビ内蔵スピーカーでは体験できない。

「GAME」モードはPS4で試した。プレイしたのは「龍が如く 維新!」だ。まず感じるのは、リバーブが少なく、すっきりとしていて、音がどこから出ているのか、方向がはっきりと理解できるということ。本作や、あるいはFPSのようなゲームの場合、音によって敵や見方の位置を理解する必要が出てくる。本機のゲームモードであれば、それがしっかりと認識できるのだ。またセリフが明瞭に聞こえるので、瞬時に状況を理解しやすいのもメリットだ。

なおHT-CT370は、「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」推奨認定を取得している。本機のゲームモードを使えば、リアルかつ正確な音場空間で、臨場感豊かなプレイが楽しめるだろう。

「MUSIC」と「P.AUDIO」にも触れておこう。MUSICはその名の通り、音楽のステレオ再生に適したモード。定位感がありながら音の広がりも同時に得られ、ライブ音源とも相性が良さそうだ。P.AUDIOは圧縮音源で失われる音の情報を補完するモードで、一聴してボーカルなどの鮮明さがグッと向上することがわかる。圧縮音源特有のディテールのぼやけたところが、一気にクリアに、見渡しが良くなるのだ。

「STANDARD」モードは、とにかくバランスの良さが持ち味。濃厚すぎることも、あっさりしすぎることもない。モードの選択に迷ったときは、様々なコンテンツに合うSTANDARDを選ぶというのもアリだろう。

さて、これらのサウンドフィールドと組み合わせることが可能な「ナイトモード」も、実際に試したら効果が高かったので紹介したい。深夜の視聴時など、小音量で聴かなければいけない場合に効果を発揮するものだ。小音量だとセリフなどが聞きづらかったりするものだが、ナイトモードでは小音量でもメリハリの効いたサウンドが得られる。隣人や家族に迷惑をかけずに良い音が楽しめるのは有り難い。

実売3万円台のサウンドバーと聞くと、本格志向のホームシアターファンからは入門機のように思われてしまいがちだ。しかし、ここ数年のサウンドバー市場の盛り上がりもあり、最も劇的に音質向上が進んでいるのがこのクラスの製品というのは紛れもない事実だ。

ソニーが2014年の主力モデルとして送り出したHT-CT370は、リビングに導入するという設置性を丁寧にケアしながらも、「ディフューザー」の搭載によって高音質志向の作り込みも新たなステージに到達した、戦略的なモデルだ。その包み込まれるようなサラウンド感を、一度自分の耳と体で体験してみてほしい。

(レビュー執筆/折原一也)


 



手軽にテレビの音質アップ!
ソニー初“ボードタイプ”のシアター「HT-XT1」を試す


家電量販店の店頭には、多種多様なホームシアター製品が並んでいる。現在人気があるのはバータイプスピーカーとサブウーファーを組み合わせた「サウンドバー」だが、いま、各社が相次いで製品を投入している新しいタイプのシステムが「ボードタイプ」と呼ばれるシアターだ。ソニーも2014年のラインナップに、満を持して本機「HT-XT1」を投入してきた。

ボードタイプのシアターシステム、ソニー「HT-XT1」

HT-XT1のような「ボードタイプ」のシアターシステムは、どんな人に向けた製品なのだろうか。まずはそこから考えてみよう。

薄型テレビはAVボードの上に置かれているケースが一般的。そしてテレビの回りには小物が並べられていたり、飾り付けがされている家庭も多いことだろう。「サウンドバー」はそんなテレビ前のスペースを使ってサラウンド再生を実現するが、小さなお子さんがいる家庭では触って落としてしまわないか心配、あるいは薄型テレビの前は愛猫の指定席になっている…などなど、サウンドバーの設置が難しい状況も存在する。

HT-XT1は、そんな悩みにしっかりと答える、新しいスタイルのサラウンドシステムだ。薄型テレビの下に置いて設置するので、テレビ下だけのコンパクトなスペースで完結する。これなら家族の理解も得られやすいだろう。さらには愛猫の居場所もしっかり確保できるというわけだ。ちなみに本機のサイズは幅720×高さ72×奥行き310mm、重量は8kgである。

 
32型の液晶テレビと組み合わせた設置イメージ。50型のテレビまで設置が可能だ   テレビラックに置くだけでなく、写真のようにHT-XT1自体を設置台として使うこともできる

もちろんソニーが作るのだからHT-XT1のサラウンドシステムとしての機能は本格的だ。ソニーは2014年春にホームシアターシステム4機種を投入しているが、なかでも主力モデルの「HT-CT370」と基本的に共通の機能を備えている。

背面の端子部。HT-CT370と同様にHDMI ver2.0対応の入力端子を3系統備えている

 

デジタルアンプ「S-Master」を搭載し、総合出力170Wのハイパワー設計、「S-Force Pro フロントサラウンド」による5.1chバーチャルサラウンド、そしてBDのHDオーディオ「DTS-HD」「ドルビーTrueHD」にも対応したスペックは上位機クラスと言える。

HT-CT370との違いとしては、「ボードタイプ」のため、フロントスピーカーは35×85mmのフルレンジユニット2基となり、またサブウーファーは底面に100mmユニット2基が埋め込まれている。

本体の底面に100mmのサブウーファーユニット2基を装備

実際にHT-XT1を目の前にしてみると、最大50インチまでの薄型テレビに対応できるサイズを想定していることもあり、製品の作りは実に上質だ。高級感ある仕上げを見ると、思わず心が躍る。

 
電源ボタンなどはタッチパネル仕様となっている   ガラス天板を採用しており高級感が非常に高い

ソニーらしいこだわりのポイントとしては、まず筐体は一般的なオーディオ用スピーカーで使われる「木箱」構造をベースにしており、音質最優先で設計されていること、そしてブラックでシックな外観にガラス天板を採用したこと。つまり音と外観、ともに力を入れているわけだ。

本機はスピーカーと同じ木箱構造を採用し、音質最優先で設計された

機能面も「HT-CT370」からそのほとんどを継承しており、「ClearAudio+」による音質の最適化に、Bluetooth&NFCによるスマートフォンとの接続、「SongPal」アプリによるシアターの操作といった機能は同様だ。

そして筆者が注目したいHT-XT1の魅力は、人の声やセリフを聞きやすくする「ボイスアップ」機能を備えたことだ。

ご年配の方はもちろん、30代~40代の読者の皆さんでも、薄型テレビの内蔵スピーカーでセリフが聞き取りにくいと感じることはあるはず。また邦画はセリフのレベルが小さい作品が多いため、ついつい全体の音量を上げがちになるケースが多い。本機の「ボイスアップ」機能は、セリフの明瞭度に重要な周波数帯域を持ち上げることで、声のクリアネスを向上させる。読者が自ら使用するのはもちろん、両親や祖父母のテレビライフをより快適にするためにプレゼントしたら、喜ばれるに違いない。

 

本機をテストするにあたって、最初に試してみたかったのは「ボイスアップ」機能だ。まだまだ聴力には自信のある30代の筆者にとっても、テレビドラマを見ていると、役者によってはセリフが聞き取りづらいと思う場面があることも事実。そこで、いくつかの番組で「ボイスアップ」機能の効果を試してみた。

一般的なニュース番組やワイドショーの音声であれば、アナウンサーや出演者の音声が聞こえづらいということは、ほぼない。しかし、それでも「ボイスアップ」ボタンを一回押し、デフォルト状態のTYPE1からTYPE2に切り替えると、声の成分が少し浮き立ち明瞭になるので、滑舌がより良くなったように聞こえる。もう一回ボタンを押してTYPE3に切り替えると、7kHzという、ご年配の方では聞き取りにくくなる音のクリアネスがはっきりと向上する。

 
リモコンは非常にシンプルだが、ボイスアップ機能には専用ボタンが割り当てられている   ボイスアップ機能はTYPE1からTYPE3の3段階で切替が可能だ

次に筆者が試してみたのは、NHK大河ドラマ『軍師黒田官兵衛』に黒田職隆役で出演している柴田恭兵さんの声だ。歴史ものらしい喋りかたなのだが、ボイスアップ機能により、歯切れ良く聞こえやすくなる。他にもテレビドラマ『医龍4』では、坂口憲二さんが演じている朝田龍太郎役の無口なキャラクターの声が、より聞き取りやすくなった。

実際にボイスアップ機能を使って気に入ったのは、「ボイスアップ」機能を有効にしても、全体の音のトーンは変化がなく、常時オンにして使っても違和感なく使い続けられるということ。特に最近テレビ番組の声が聞き取りにくくなったという人は、ぜひ試してみてほしい機能だ。

 

もちろん、HT-XT1はサラウンドシステムとしての音質も一級品だ。映画『パシフィック・リム』では、締まりある低音が迫力満点。独立したサブウーファーを備えるHT-CT370のような重低音は出ないが、逆に本機の低音はヌケが良く、心地よい低音となっており、大音量を出しづらいマンションで映画を観るのに絶妙なバランスに仕上がっている。

アニメBD『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を視聴しても、凝ったサウンドエフェクトを正確に再現するほか、音の広がりの再現力も高次元。薄型テレビの台座の位置に置かれる製品のため、音場再現力がどの程度か気になっていたのだが、本機が音の広がりにおいても優秀であることが確認できた。

スピーカーは前面を向いているが、音場の広がりはしっかり得られる

PS4と組み合わせてゲームも楽しんでみた。サウンドフィールドは「GAME」を選択する。サッカーゲーム「FIFA 14」では、ボードタイプということを感じさせない、素晴らしいサラウンドの広がり感に驚かされる。観客の歓声がスタジアム全体を包み込む感覚は、本当のサッカー中継を見ているかのような感覚だ。

 
HT-XT1でPS4のゲームをプレイ。思わず笑みがこぼれるほどの臨場感溢れるサウンドを楽しめる

アクションゲーム「KNACK」もプレイした。特筆すべきは、効果音の一つ一つが非常に明瞭に聞こえること。足音を例に挙げると、キャラクターが歩いたり走ったりしている床の素材の違いが、音で聴きわけられるのだ。とにかくキレが良く、定位感が良いのはゲームに適しており、ゲームがさらに楽しくプレイできる。本機はHT-CT370と同様に「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」推奨認定を取得しているが、同作のようなゲームで重要となる「どこから音が鳴っているか」という情報も、本機であればしっかりと表現でき、快適なゲームプレイが可能になるはずだ。

「ナイトモード」も試してみた。小音量時でもメリハリの効いたサウンドが楽しめるモードで、その効果は絶大。深夜に映画やゲーム、音楽を楽しみたいという方は多いだろうが、強い味方になるだろう。

もう一つ、HT-XT1はボードタイプということもあり、NFCのタッチ箇所が分かりやすいのも、地味ながら実用的なポイントだ。筆者はNFC対応のXperia Zを所有しているが、NFCマークを見つけてスマホをタッチするとすぐにBluetoothのペアリングが完了し、すぐに音楽再生を楽しめる。そんな使い勝手の良さと分かりやすさにも魅力を感じた。

HT-XT1はソニーが「ボードタイプ」という新たなチャレンジを行ったシアターだが、ベースとなっているテクノロジーはソニーのサウンドバーの系譜を継承し、音質設計と機能面は2014年の主力モデルHT-CT370に近い仕様となっている。一方で「ボイスアップ」機能のように、シニア層に向けた提案もなされている。ボードタイプの使いやすい形状と合わせ、生活により沿うサウンドシステムとしてHT-XT1を幅広いユーザーにお薦めしたい。

(レビュー執筆/折原一也)